ANARCHY「BLKFLG」

京都出身のラッパーによる、2年ぶり6作目。


ANARCHY への評価として「初期の頃の方が良かった」という意見を割とよく見かけます。実際に初期の作品を聴いてみると、なるほど現在よりも血気盛んでアグレッシブな押しの強さ、ギャングスタならではの緊張感が強く表れた楽曲はインパクトが強く、初期の頃に思い入れの強いファンが多く生まれるのも頷ける。しかし ANARCHY 自身は「WHATEVER」や「SO WHAT!?」の歌詞にもあるように、変化することやそれに付随するディスをまるで恐れず、あくまで俺は俺だと言う強気のアティテュードを一切崩さずにいます。今作に収められた楽曲はほぼ全編がダブステップ/トラップ。それらに共通する重苦しいダークネスの中で、ANARCHY はもがき足掻くようにしてオラオラの咆哮を続けています。その中には THE BLUE HEARTS「チェインギャング」のトラップカヴァー、そして「BLACK MARIA」以降の終盤で見られる心の弱さや人情味もあり、それらを含めた全てが ANARCHY というひとりの人間だと。棘ばかりが目立っていた初期から、棘と花をバランス良く見せる時期へ。強さも弱さも偽りなくリアルに曝け出すことこそが、彼のアイデンティティなのでしょう。

Rating: 7.0/10



ANARCHY / チェインギャング (CHAINGANG)