坂本慎太郎「できれば愛を」
- アーティスト: 坂本慎太郎
- 出版社/メーカー: Independent Label Council Japan(IND/DAS)(M)
- 発売日: 2016/07/27
- メディア: CD
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アルバムテーマは「顕微鏡で覗いたLOVE」。まあ何を言ってるか分からないのは割といつものことなのでね。前作の「ナマで踊ろう」であったり、ゆらゆら帝国での「空洞です」「Sweet Spot」なんかはスカスカの音の中にも奇妙な濃密さ、空気の重たさが感じ取れたのですが、今回は本当にスッカスカ。通常のバンド編成にスティールギターやフルート、女性コーラスを乗せて AOR 風のスウィートでメロウな感触を与えつつ、徹底的に隙間を置くことを意識した音作りがその AOR 感を敢えて無化し、結果として着地点のない宙ぶらりんな感覚ばかりが残された、何とも居心地の悪い空間が出来上がっています。曲タイトルとは裏腹にシュールな哀愁が漂う「超人大会」、もはや笑わせに来てるとしか思えない「鬼退治」、また「マヌケだね」「ディスコって」の小気味良いファンク曲2連発にしても、すっかり肉体性から距離を置いた軟体動物のような掴みどころのなさが、素直に心地良いと感じることを良しとしない。現在の彼が目指している音楽性が、またひとつ無駄を削いでコアの部分へと到達した作品。ありのままでもできれば愛してほしい。
Rating: 7.6/10
できれば愛を (Live In-Studio Performance, 7/12/2016) / 坂本慎太郎 (zelone records official)