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新居昭乃「リトルピアノ・プラス」

リトルピアノ・プラス

リトルピアノ・プラス

4年4ヶ月ぶりとなる8作目。


厳かな中にも何処かノスタルジックな匂いを感じさせるピアノの独奏。「世界」や「惑星」といったタームが頻繁に見られた今までからすると、このひっそりとした室内楽的なオープニングはある種の実験か、あるいは彼女の表現の核のみを見せた原点回帰か、いずれにせよ音の裏側に少しばかり挑戦的な意図を感じます。その後の楽曲ではストリングスの装飾が加わりますが、派手な色味の追加ではなく繊細でなだらかな楽曲の深みを増すためのもの。悠木碧への提供曲「サンクチュアリ・アリス」はキッチュな感触が抜け、くすんだ色味のバロックポップと化して全体の流れに調和。まるで童話に現れる森の中の隠れ家のような、内省的でミステリアスな世界観を前半では提示しています。そこから後半の「羽よ背中に」や「Unknown Vision」ではバンドサウンドが入り、雲を割って光が差し込んでくるかのように世界観の壮大な広がりを見せる。強固に構築された静謐の殻を自ら打ち破っていく、この感動的なアルバム構成には思わず圧倒されてしまった。彼女ならではの幻想的な美しさがグラデーションの移り変わりを見せる13曲。デビュー30周年おめでとうございます。

Rating: 8.0/10



新居昭乃デビュー30周年記念アルバム「リトルピアノ・プラス」8.21リリース!