THE NOVEMBERS「Hallelujah」

ハレルヤ

ハレルヤ

約2年ぶりとなる6作目。


THE NOVEMBERS ほど誠実なバンドは他ではそうそう見られません。彼らは自らの内面に対し、また今我々が生きる世界に対し、強い問題意識を持って真っ向から対峙しようとしています。その誠実さゆえに辛辣な言葉や息苦しいほどのシリアスさ、ヒステリックな不協和音を多く交え、自分達ならではの表現というものを常に模索してる。前作「Rhapsody in beauty」でいよいよ完成形の域へと踏み込んでいた彼らのサウンドは、ここでまた純度を増しています。ハードロックやノイズの要素を大胆に掻き混ぜた「黒い虹」「1000年」などはますます不穏かつ暴力的に、甘く溶けるようなネオサイケデリアの美しさを湛えた「愛はなけなし」「ただ遠くへ」はメロディがより確かなフックを備えたものに。黒と白、激しさと優しさの両サイドへ大胆な振り切り方を見せながら、それらはひとつの強固な審美眼、同等の信念によって違和感なく連結されています。そしてその両者は最終的に、終曲「いこうよ」の中でドロドロに混合。ファンファーレのような管楽器と、全てを燃やし尽くすシューゲイザーノイズの業火。美しさを追い求める彼らの旅に終わりは来るのか。

Rating: 8.4/10



THE NOVEMBERS 「黒い虹」