HINTO「WC」

WC

WC

2010年結成の4人組による、2年2ヶ月ぶり3作目。


今回も変わらず奇天烈なバンドです。ツボを押さえたファンキーなグルーヴを保ちつつ、ぐにゃぐにゃと脱力したエフェクティブなギターサウンド、素っ頓狂な上モノがあちらこちらから飛び交って聴き手を翻弄する。ノスタルジックなメロディが郷愁を誘ったと思えば、歌詞ではシニカルさを軽妙に織り交ぜたり、なんともトリックスターZAZEN BOYS や初期フジファブリックなどにあったゼロ年代(変態)ギターロックの複雑な味が今なお確かに生きている。特に耳を惹く楽曲を挙げると、夏の終わりの切なさが空間一杯に滲む「なつかしい人」、明らかに悪ふざけの度が過ぎてるファンクチューン「悪魔の実」、打って変わってえらくストレートに甘酸っぱい疾走チューン「star」あたり。耳に強く残る箇所は多いのですが、前作「NERVOUS PARTY」ではサウンドの変態性とメロディの質の良さがどの曲もハイレベルで釣り合っていたのですね。それと比べると今回はアレンジを捏ね繰り回すことに比重が寄っていて、少し聴かせ所が散漫になっている気もする。ただ彼ららしい独自性は十分表れてはいると思います。

Rating: 6.8/10



HINTO 『なつかしい人』