Hope Sandoval & The Warm Inventions「Until the Hunter」

UNTIL THE HUNTER

UNTIL THE HUNTER

Hope Sandoval と Colm Ó Cíosóig によるデュオの7年ぶり3作目。


方向性としては Mazzy Star の延長線上、もしかすると Mazzy Star 本隊よりも密度の濃さを更新しているかもしれません。オープナー「Into the Trees」はいきなり9分超えの大曲。シンセとノイズのテクスチャーがなだらかに折り重なって深遠なアンビエント空間を形成し、Hope Sandoval の憂鬱さを纏ったウィスパーヴォイスが音の重層の向こう側から妖しく手招いてくる。その恍惚を呼び起こすディープな空気感はシューゲイザー/ドリームポップの真髄とも言えるもの。それ以降は牧歌的なサイケデリック・フォークが続きますが、ぼやけた音の輪郭から醸し出される幻惑的なムードはやはり一貫しています。陽の光を思わせる暖かさから、後ろ側には冷ややかな影も感じさせる楽曲群。インディロックファンにとっての目玉はやはり Kurt Vile ゲスト参加の「Let Me Get There」でしょうね。彼の気だるげな歌声はまた違った角度から楽曲の柔らかな感触を引き立て、Hope とのデュエットで二人の声が混ざり合う様子は何だか官能的ですらある。徹底的に聴き手の意識を蕩けさせる、彼女らならではの魅力が純度高く濾過されたような内容です。

Rating: 7.5/10



Hope Sandoval & The Warm Inventions - Let Me Get There ft. Kurt Vile