The Willard「Romancer」

Romancer

Romancer

約10年半ぶりとなる11作目。


ロックバンドはいつから車を、酒を、夢を、愛を歌わなくなったのでしょう。物心ついた頃にはロックはすでに片田舎の学生の手にまで渡り、日常の風景や悩みを訥々と歌ってみたり、少し背伸びして社会情勢なんかにケチをつけてみたり、随分と身近でカジュアルなものになってしまった。それも決して悪くはないけれど、何だか寂しさを覚える時もある。たまには目が眩むほどギラギラしたロックスターの魅力に、全てを忘れて没頭していたい。そんな貴方にはウィラードです。なにせ冒頭から「イカれたランチェロのベッドの上には Motor Psycho」ですからね。The Damned 直系のパンクロックにブルースやハードロックのエッセンスも混ざり、ゴシックあるいはグラムの色気もムンムン。パワフルかつ勇壮な気高さを感じさせる Jun の歌は、徹底してこの世ならざる楽園を夢見ています。快楽と背徳、刹那の狂騒が渦巻くロックンロール・ユートピア。もちろん時代錯誤です。今更流行るはずもない。だが夢の国のエンターテインメントに時間の流れが必要だろうか?この道およそ35年の大御所が改めて提示するロックの本来的魅力。VAMPS のファンもどうぞ。

Rating: 7.0/10