Base Ball Bear「光源」

光源(初回生産限定盤)(DVD付)

光源(初回生産限定盤)(DVD付)

約1年半ぶりとなる7作目。


メジャーデビュー10周年と、ギター湯浅将平の突然の脱退。バンドにとって良くも悪くも大きなターニングポイントとなった2016年を経て、ここでの彼らはデビュー時と同じフラットな目線に回帰したのかなと思います。音楽的には前作「C2」でも見せていたファンクやシティポップ的な意匠を継続し、キレの良いギターカッティング、横ノリを誘発するビートがアーバンで洒脱な印象を与える。しかし歌詞の面においては、周囲の音楽シーンに対して批判的な目線を向けていた「C2」とは異なり、彼らの真骨頂と言える「青春」というテーマに改めて対峙した、淡く切ない情景を想起させるフレッシュな楽曲が揃っています。リード曲「すべては君のせいで」は細かいディテールで揺れる心の機微を描いた、まるでメロドラマのワンシーンのような楽曲だし、それは「(LIKE A) TRANSFER GIRL」や「SHINE」などにしても同様。音楽性が同じ路線でも、そこに乗る歌詞が違うだけでこうも印象が変わるものかとばかりに、鳴らす音すべてがやたらと瑞々しく、カラフルな目映さを放っています。憧れも痛みも内包した、繊細かつ軽やかな筆致。この青さが彼らの根源ということ。

Rating: 7.9/10



Base Ball Bear - すべては君のせいで