A9「IDEAL」

IDEAL (初回限定豪華盤)

IDEAL (初回限定豪華盤)

約3年ぶりとなる7作目。


ヴィジュアル系とは一体どんな音楽か。2017年になって改めてその定義を問うとするなら、それは A9 になるのではないかなという。色々あって昨年に2度目の改名を余儀なくされた彼ら。ここが再スタートラインということで、奇を衒ったり無理に背伸びすることをせず、彼らにとっての王道を突き詰めた内容になっています。メタル由来のヘヴィネスも積極的に取り入れつつ、痛快な疾走感とキャッチーな J-POP メロディをキッチリ押さえた、これぞ V-ROCK と言うべき正統派な内容。「造花の代償」でジャジーなスウィングをやってみたり、「UNDEAD PARTY」で EDM を突っ込んでみたり、「ECHO」や「輪廻と一夜の物語」といった清らかなバラードで緩急を付けたりと、この辺の横道への逸れ方も V-ROCK のセオリーに忠実に則った感があり、非常に手堅い。昨年の VJS で彼らのライブを見た時は、ギターを務めるヒロト氏のヴィジュアル系に対する真っすぐな愛情、熱血とも言える MC が印象に残っているのですが、今作ではそんな彼らの信念がはっきり表れているのではないでしょうか。良い意味での破綻や驚きはないけれど、正しくジャンルの良心。

Rating: 7.0/10



A9「Adam」【MV SPOT】