Slowdive「Slowdive」

SLOWDIVE

SLOWDIVE

22年ぶりとなる4作目。


復活の第一手として彼らが選んだのは、自分達のファンが自分達に何を望んでいるか、その魅力の大幹を成す部分のみを抽出し、客観的に捉えて再定義するということ。それはすなわちシューゲイザーというジャンル自体の再定義とも言えるわけで、これは数年前の My Bloody Valentine にしてもそうだったけれど、長い時間を経て再結成を果たしたレジェンドがやるからこそ意味を成す、ある種の特権のようなものだと思います。幻惑的なギターサウンドのレイヤーが何重にも重なり、すっかり浮世離れした美しさを描き出す、彼らの過去作で言えばちょうど「Souvlaki」と「Pygmalion」の中間点に在るような音像。しかしただ単に昔の焼き直しを演るだけでは面白みがない。どうせ陶酔するなら徹底的に、とことん深遠へと潜り込む。曲構成だけ見れば軽快なギターポップと言える「Star Roving」や「Don't Know Why」も彼らのフィルターを通せば万華鏡のようにミステリアスな煌めきを纏い出すし、リード曲「Sugar for the Pill」に特に顕著に表れた、あまりにも瑞々しく繊細なポップセンスにはすっかり参ってしまった。ノスタルジーばかりではない、ひとつの確かな矜持。

Rating: 8.3/10



Slowdive - Sugar for the Pill (Official Video)