Ride「Weather Diaries」

Weather Diaries

Weather Diaries

約21年ぶりとなる5作目。


所謂シューゲイザー御三家の中でライドだけは、他の二組と少々異質な印象を自分は受けています。もちろん空間を埋め尽くす轟音ギターノイズという点では共通していますが、彼らの持つ朗らかなポップセンスやリズムの高揚感は、靴よりもむしろ高らかな空を向いているように思うからです。陶酔や実験性ばかりに向かうのではなく、当時のオルタナティブロックやブリットポップと共振する部分も多い、王道的 UK ロックの延長線上に位置する音。だからこそブリットポップをほとんど通過してない自分にとっては、マイブラやスロウダイブに比べて響く部分が少なかったのですけども。そしてこの新作。張りのある大文字のロック感がありつつ、アンニュイな翳り、緻密に練り込まれた空間的サウンドの重層といった、従来の彼らを成す主要素が現代風に洗練され、なおかつ長い年月を経たが故の落ち着き、渋味のようなものも感じられます。特に「Charm Assault」や「All I Want」でのバンドサウンドの作り込みとポップネスとのバランス感覚など、ちょうどインディロックの模範とも言えるような、オーソドックスながら実に丁寧な仕事。確かにこれはライドの新譜。

Rating: 7.4/10



Ride - All I Want (Official video)