Broken Social Scene 「Hug of Thunder」

Hug of Thunder

Hug of Thunder

カナダはトロント出身、大所帯バンドの約7年ぶり5作目。


前作は John McEntire プロデュースにより Tortoise 譲りのポストロック風プロダクションを取り入れた、理知的で整然とした印象のある作品でした。対する今作はその逆を行く内容となっています。生々しくささくれ立った歪みや牧歌的なクリーントーンなど、全ての音が輪郭を滲ませたローファイな質感。それらが密接に折り重なって凝集し、化学反応を起こしてジリジリと熱膨張しているような、正しく破裂寸前のエナジーを感じさせる仕上がりになっています。実質的なオープナー「Halfway Home」の時点でその熱量の高さは感じ取れるはず。大所帯ならではの煌びやかな音の群れがひとつに融和しながら、聴きようによってはシューゲイザーとも受け取れる豊かな広がりを生み出し、その中に浮かび上がるヴォーカルは繊細な中にも感情の昂ぶりを隠せずにいる。またメロディが美しく華やぐ「Stay Happy」から強烈にグルーヴィな推進力を発する「Vanity Pail Kids」へのダイナミックな流れは今作のハイライト。聴き手に内省を促し、厚く包み込み、ここではない何処かへと牽引してくれるような、この力強さこそが BSS の本来的魅力だったと再確認しました。

Rating: 8.0/10



Broken Social Scene - "Halfway Home" (Official Audio)