南條愛乃 「サントロワ∴」

1年ぶりとなるソロ3作目。


彼女のソロ作品は一応前作も前々作も聴いてはいたのですが、どうしても先発の fripSide と比較してしまいがちで、そのユニットとソロで大きく開いた音楽性のギャップにずっと戸惑いの気持ちがありました。もちろん差異がないと名義を分ける意味がないのですけども、彼女の場合は単に曲が薄味で没個性的になっただけのような印象があり、ずっと食い足りなさばかりが残っていたのですね。ただ今作ではようやく耳が馴染んできたような感覚があります。川田まみKOTOKO など I've 勢も多数参加した今回の内容は、基本的には透明感や清冽としたムードを打ち出し、場面によっては幻想的なイメージもあったり。圧の強いサウンドに反比例するようにヴォーカロイドのような無機質さを持っていた fripSide での歌唱とは違い、ここでの彼女は微妙な声の揺らぎが繊細な情感を伝え、落ち着いたトーンではありながらも随分と表情豊かに見えます。ただ最近のロキノン系マナーにガッツリ沿った「pledge」はさすがに唐突過ぎるというか、このアルバムの流れでこれ要るか…?例えば小松未可子における Q-MHz のような総合プロデューサーが彼女にも必要なのではと。

Rating: 6.9/10



【南條愛乃】3rdフルアルバム「サントロワ∴」全曲試聴クロスフェード