FUJI ROCK FESTIVAL '17 1日目

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行ってきました。個人的にはちょうど10回目、節目のフジロックです。3日間ともはちゃめちゃに雨に降られました。何とも手荒い歓迎でした。


グループ魂 @ GREEN STAGE

意外にもフジロック初出演のグループ魂。多分いつものことだとは思いますが最初から最後まで下ネタと時事ネタしか言ってなかったですね。自分はいつぞやの RSR で見て以来なんで6年ぶりとかなんですが、6年経っても何も変わってなくて安心するやら悲しくなるやら。ネタにされてたのは覚えてる限りでは張本智和豊田真由子清水富美加上西小百合松居一代など。話題に事欠かなかった今年の上半期を振り返る作業ができて良かったです(?)。


原始神母 @ FIELD OF HEAVEN

木暮 "shake" 武彦らを筆頭とするプロミュージシャンによる本気の Pink Floyd トリビュートバンド。元々自分はピンクフロイドと仲直りできてなくて、過去の名作群を何度聴いても自分の中で消化することができなかった。でもライブで体感したら印象は変わるかも…と思ってたのですが、再現度が高すぎるからか印象はやっぱり変わらず、自分の理解が追いつかないままでした。確かに迫力はあったのだけど、この仰々しい感じがやっぱり苦手というか、フロイドはどうも難しい…無念。


OGRE YOU ASSHOLE @ FIELD OF HEAVEN

フジロックは3回目のオウガ。自分もフジでオウガを見るのは3度目なんですが、まあ相変わらず、彼らとフジロックの相性は良いのなんの。「黒い家」からヌルリとスタートし、時間をかけて丹念に丹念に紡がれて、やがてはヘヴンの会場いっぱいにまで広がるサイケの爆音。それがミニマルな反復を続けるリズム隊の恍惚と合わさり、凄まじく濃密な快楽を生み出していく。その中でもハイライトはやはり、前回のフジでも神懸かり的な演奏だった「フラッグ」新旧合体ヴァージョン。ライブ中盤で披露されると同時に雨の強さはピークに達し、ステージがまともに見れなくなるほどになりまして、まるでバンドの音が雨を呼び寄せたようで、そのカオスな状況の中でテンションがヤケクソ気味に昂ってしまった。メンバーも心なしかいつもより演奏に力が入っているように見受けられ、「フラッグ」の後に続けて披露された「見えないルール」「ロープ」においても、ファンキーなグルーヴが数割増しで高揚していたように思います。鉄板の魅力を再確認させてくれました。


サニーデイ・サービス @ FIELD OF HEAVEN

いくつかの楽曲は一応試聴したりはしてたものの、実は今までほとんど通過してこなかったサニーデイ。何となくだけど批評筋の絶賛からか、逆に近寄り難かったり小難しい印象を抱いていたせいかもしれません。ただ実際のライブは音源とはかなり印象が違って、随分とパワフルに感じました。「苺畑でつかまえて」や「セツナ」にしても、原曲の落ち着いた洒脱な雰囲気が骨太でエモーショナルなものへとブーストされ、ともすれば切迫感すら感じさせるようなものへと転じてた。そして途中では C.O.S.A. と KID FRESINO がゲスト参加。おそらく最近の曽我部氏の嗜好を反映したものだと思うけど、このヒップホップの導入ってサニーデイファン的にはどう受け止められてるんだろう。ライブの流れの中で明らかに浮いてる気がしたけど。


THE XX @ GREEN STAGE

見るのは2009年のフジ出演以来となる The xx 。その間に彼らはすっかりスターダムへとのし上がり、当初の内省的で感傷的、かつダークなイメージはもちろん残されてはいるものの、それ以上にビッグな風格、器の大きさを感じさせるバンドへと仕上がっていました。

初っ端の「Intro」で大きく沸き立つオーディエンス。改めて聴くと何か大きな事件の前触れのような、彼らの世界観の幕開けを厳かに示す名イントロであることよ。そのまま続いた「Crystalised」にしても、このシンプルでこじんまりとした曲が数万人規模のステージにこれほど映えるとは思わなかった。ましてや新作「I See You」の楽曲となれば尚更。高らかなホーンの音で静寂を切り裂く「Dangerous」、深い情感に満ちた「Performance」など、内なる炎をさらに大きく燃やす新曲群はグリーンステージの空気を完全に掌握していました。サンプラーパッドや打楽器を黙々と打ち鳴らす Jamie と、対照的にしなやかかつ堂々とした立ち振る舞いで存在感をアピールする Romy & Oliver 。その挙動は何気ないながらも実にスター然としたもので、寂し気な歌を歌っていても彼らの目線がはっきりと広い外を向いているのが伝わる。そして終盤、Jamie のソロ DJ パートから「On Hold」へと雪崩れ込んだ瞬間は本当に興奮した。ダンサブルなのに落ち着く、晴れやかなのに切ないこの楽曲をハイライトとして体感できただけでも、今日という一日は OK というものです。最新型の彼らのスタイルを堪能できました。


QUEENS OF THE STONE AGE @ WHITE STAGE

フジロック2回、サマソニ1回のキャンセルを経て実に14年ぶりの来日となった QOTSA 。今年のフジの中ではむしろ少数派となってしまった、ロックンロールらしいロックンロール。初っ端「You Think I Ain't Worth a Dollar~」からゴリゴリのやさぐれたディストーションが疲れた体を突き上げる。このバンドはもちろんコココココケインとか歌ってはいますけども、曲自体は実にブルージーでラウドでストレートでなおかつ面妖な、Black Sabbath の時代から続くロックンロールの正統な継承者だろうと常々思っていて、悪いクスリに頼らなくとも十分ハイになれる即効性を持ち合わせているのだと、彼らのライブを初めて体験してしみじみと思ったのでした。

早々に披露された「No One Knows」ではギターリフの合唱が起こり、観客の高い期待がそのままダイレクトに反映されたかのよう。また中盤で披露された新曲「The Way You Used to Do」は彼らにしてはえらく軽快なブギーで、何だか Josh がプロデュースしていた Arctic Monkeys からの逆輸入みたいな印象があったり。中心人物の Josh Homme は気難しい人柄なのかなと勝手に想像していたけど、頻繁に感謝の言葉を述べたり曲に合わせてクネクネと踊って見せたり、「Feel Good Hit of the Summer」では同時間帯に演奏中の Gorillaz から「Clint Eastwood」の一節を挿入するなど、意外とユーモラスな面も見れたのが面白かった。そして大ラス「A Song for the Dead」では Jon Theodore のドラムソロを挟みながら、ホワイト全体に熱狂の渦を巻き起こすようにして今日イチの爆音と強烈なグルーヴを放ち、最後までバンドの凄味を見せつけたのでした。


初日は以上です。ベストアクトは非常に迷うけれど The xx 。