Wolves in the Throne Room 「Thrice Woven」

THRICE WOVEN (スライス・ウォウヴェン)

ワシントン出身の3人組による、約3年ぶり6作目。

前作「Celestite」ではかつてのブラックメタル要素をかなぐり捨て、アンビエント／ドローンノイズへと完全に振り切れた内容でメタルヘッズを篩にかけまくっていた彼ら。今作はと言うと再び以前のブラックメタル路線へとあっさり回帰しており、あの壮大な実験はいったい何だったんだという肩透かし感は正直ある。ただこの手の音を演ればやはり彼らは手堅いですね。濁流のようなノイズギターと高速ブラストビートで突っ走る長尺ナンバーの連続、しかし禍々しさばかりが強調されるのではなく、要所要所で入るゴシック・フォークの土着的エッセンスはメタルとはまた違った形での重々しさを楽曲に付与しているし、清らかさが却って畏怖を感じさせる女性ヴォーカルの挿入も絶妙なもの。ただやはり彼らとしては前作の反動があるのでしょうか、あくまで WITTR として演るべきことを演ったという堅実なイメージが強く、そのためかどうも音が外を向いていない気がするのですね。元々聴く人を選ぶジャンルではあるものの、せっかくなら前作を踏まえた野心的なチャレンジを試みて音の拡張を図っても良かったのではという思いは残ります。

Rating: 6.5/10

WOLVES IN THE THRONE ROOM - "Born From The Serpent's Eye" (Official Music Video)