PUNPEE 「MODERN TIMES」

MODERN TIMES

MODERN TIMES

東京は板橋区出身のラッパーによる初フルレンス。


散々リリースを焦らしまくっただけに過剰とも言える期待を受けていたであろう今作ですが、序盤の「Lovely Man」から早々に「別に俺なんかいなくてもね KOHH 君、tofubeats 、弟とかがいる」とスカす気満々のダメ兄貴。加山雄三宇多田ヒカルとのコラボでどれだけ注目を浴びようが、世間がどれだけトラップや即興バトルブームに沸こうが、あくまで俺は俺の道を行くと言わんばかりに PUNPEE ならではのユーモラスな個性が凝縮されています。2057年の未来から今の PUNPEE を回想するという物語を軸とし、食べ物や映画、音楽などのフェイバリットを随所に散りばめ、その軽妙な手つきのままで世相をチクリと突いてみたり、あるいは内なる本音が零れ落ちたり。クレジットが Lyric(詞)ではなく Script(脚本)とされているのはそういった歌詞上のコンセプトに依るものでもありますが、「Happy Meal」や「Scenario (Film)」ではメロウなポップさで魅了し、「Stray Bullets」などでは渋いファンクネスでヒップホップとしてのスジを通す、この硬軟自在の起伏に富んだ流れは本当に一本の映画を見ているかのよう。ユルくてもキメる時はキメる、それが P という男。

Rating: 9.0/10