Beck 「Colors」

COLORS [CD]

COLORS [CD]

3年8ヶ月ぶりとなる13作目。


オルタナティブでもフォークでもない、完全なるポップ。現在進行形のヒットチャートの主流を成すダンスポップに、例えば Duran DuranTears for Fears のような80年代フレイヴァーもそこはかとなく香り、それこそアルバム表題よろしく実に彩り豊かなポップサウンドを鳴らしています。そして聴き心地はライトなのだけど、アレンジは細部に至るまで随分と力が入ってると言うか、以前のように敢えて音数を埋めずにイマジナティブな余白を残すということをほとんどしていない。敢えて言えばローファイな「Wow」くらい。ベックの作風がアルバム毎にころころ変わるのはいつものことではあるのですが、今回は彼のキャリアの中でも特に類を見なかったもののように思うし、前作「Morning Phase」でグラミー賞を獲得してロック/フォークの枠ではいよいよ殿堂の域に入った彼にとって、次なるチャレンジが本格的なメインストリームへの参入というのは流れとしては納得できる。ただやはり、メロディもトラックももちろん一級の質ではあるのだけど、まるで炭酸飲料のようにサラリとしすぎていて後味が薄く、敢えて彼が演る意義に欠けるのではという気もします。

Rating: 6.5/10



ベック 「Colors」 ミュージック・ビデオ