SHE IS SUMMER 「WATER」

WATER

2016年始動、MICO のソロユニットによる初フルレンス。

何はともあれ、昨年リリースで今作の実質的オープナーを飾っている「とびきりのおしゃれして別れ話を」のきらめき感が半端じゃない。心の昂揚を極めて鮮やかに描いて見せたエレクトロトラック、Kawaiiness に満ちた声がよく似合うメロディ、しかしながら歌詞は終わりを迎えた恋の話。これにグッとこないというのが無理な話なんですよね。そのうえ今作ではそのストーリーを補完するように、表題通りの軽やかなハウスチューン「出会ってから付き合うまでのあの感じ」があり、不安に揺れる「WATER SLIDER」があり、後日談でも恋人に翻弄されっぱなしの「あれからの話だけど」がある。曲調の流れの関係で歌詞の時系列は前後してはいるものの、心象のディテールを説明しすぎない塩梅で朗々と歌い、過去から未来まで一本の筋道が通ったメロドラマソングがずらり。音的には90年代渋谷系の影響下にあるのは明白で、昨今のインディ界隈においては決して目新しい音ではないですが、こんだけ胸キュンに特化されるとさすがに降伏せざるを得ないというね。一番のミソは前述の「とびきりの～」を筆頭に、悲観的な部分にしっかりリアリティが感じられるところ。

Rating: 7.7/10

SHE IS SUMMER 「WATER SLIDER」MV