Rhye 「Blood」

Blood

Blood

カナダはトロント出身、Mike Milosh によるソロユニットの5年ぶり2作目。


前作「Woman」もそうでしたが、徹底した美意識を感じる。それはモノクロの裸体を写したアートワークもそうだし、肝心の音楽にしてもそう。管弦楽器を駆使しつつエレクトロニックな質感を残し、中性的なヴォーカルは刹那的な感傷を美しく伸びやかに伝える。この上なく上品に洗練されながらアンニュイな翳りを帯びたオルタナティブ R&B 。そこには何処か浮世離れしたミステリアスな感覚が強く打ち出されており、例えばスウィートで官能的という意味では近しい場所に属するであろう The xx や The Internet などと比べても、その聖性とも言える透明感を持った音はやはり明らかに異質。ただ今作ではファンクの躍動感、あるいはボサノヴァの軽やかさといったグルーヴが強化された感触があり、ストリングスは以前より抑揚の大きさが増した面も。また「Phoenix」では静寂を切り裂くようにして歪んだギターが挿入されたりと、以前よりも幾らか感情の揺れが大きくなってきている気がする。それはほぼ誤差の範囲ではあるのですが、やはりデュオ編成を解消して大所帯バンドによる生演奏を前提としたスタイルに移行したのが、意識的にも影響を及ぼしているのかなと。

Rating: 7.5/10



Rhye - Taste