漢 a.k.a. GAMI 「ヒップホップ・ドリーム」

ヒップホップ・ドリーム

ヒップホップ・ドリーム

新宿を拠点に活動するラッパーの13年ぶり2作目。


数年前からの MC バトルブームをきっかけにようやくヒップホップに対する抵抗感が解けて色々なラッパーを漁り出しているのですが、それでも所謂ギャングスタラップには相容れない壁のようなものを感じてしまいます。いかに自分がアウトローな存在であるかを誇示し、セルフボーストに終始しているラップというのはどうにも単調に感じるし、あまりにも自分の価値観とかけ離れ過ぎているから。しかしこの MC バトルの牽引役と言える漢、また BAD HOP などにも同じことが言えるかと思いますが、彼らはギャングスタとしての美学を貫きながら、決してそれが単なるこけおどしには陥らない、まるで自分自身がひとつのアンダーグラウンドのドキュメンタリーであるような、ズシリと重い説得力を感じます。一貫してダークでシリアスな楽曲群の中で、漢のラップはむしろストーリーテリングのように早口で言葉を詰め込み、現場のひりつくような空気感を生々しく伝えようとする。当事者でありながら何処か客観的、なおかつ贅肉を削いだタイトさが強い緊張感を生み、そこにはドリームどころか目の前のハードコアな現実しかない。これが新宿スタイルの凄味か。

Rating: 7.0/10