cero 「POLY LIFE MULTI SOUL」

POLY LIFE MULTI SOUL (初回盤A)

POLY LIFE MULTI SOUL (初回盤A)

2004年結成の3人組による、3年ぶり4作目。


cero の作品を聴く時はいつも同じような感想になるんですが、良くも悪くもハイエンド感満載の音楽という感じ。賑やかなオーケストラル・アートポップからジャズ、ヒップホップを経由し、様々な時代や国のジャンルをスムーズに繋ぎ合わせる手腕は、この新作でさらに自由度を拡張しているように見えます。全編においてプログレッシブな変拍子を駆使する一方、ジャズに留まらずボサノヴァやアフロビートなどのワールドミュージックまで飲み込んで多国籍感は弥増し、種々の楽器の音色をエレクトロニックな音響空間の中で緻密に連結。この雑多な感覚はアルバム表題に示された「多様性」を強く意識したが故のものかと思いますが、それら豊かな素養の打ち出し方が何ともさり気なく、高い偏差値を誇りながらもあくまで肩の力の抜けたユーモラスな印象に纏め上げるという、その軽やかな手つきも含めて全く隙が見当たらない。実験や挑戦ではなく確かな理論に裏打ちされた論文というイメージがあって、自分などはそのあまりの優等生っぷりにむしろ入り込み難さを感じてしまうのですね。ただ最後の表題曲が見せるグルーヴの深みにはさすがに恐れ入った。

Rating: 7.3/10



cero / 魚の骨 鳥の羽根【OFFICIAL MUSIC VIDEO】