陰陽座 「覇道明王」

覇道明王(初回限定盤)

覇道明王(初回限定盤)

約1年半ぶりとなる14作目。


雅やかな美しさを見せる黒猫をフィーチャーした前作「迦陵頻伽」に対し、アルバム表題にある明王さながらの凄みを効かせた瞬火。このジャケットの変化が示唆する通り、メタルを基盤としつつ様々な曲調を盛り込んでポップに仕立てた前作から、もしかすると陰陽座史上最もアグレッシブに振り切れたかと言えるくらい、敢えての突っ張りのみに特化した内容です。禍々しい雰囲気の中にデスヴォイスが牙を剥く「覇王」に始まり、スラッシーな疾走感により苛烈さが弥増す「隷」「飯綱落とし」、グルグルと複雑な展開を見せながら重厚な世界観を見せる「鉄鼠の黶」など、とにかく質量ともにみっちりと詰め込まれたヘヴィネスが何とも圧巻。合間には「桜花忍法帖」や「腐蝕の王」のようなポップな曲もあるにはあるものの、箸休めと言うよりは全体の流れをスムーズにするための潤滑油。常に攻撃の姿勢を緩めない中で一番の主導権を握るのはやはり瞬火なのですが、メロディを歌う黒猫の存在感も薄れるどころかむしろ楽曲の中で効果的なフックとなり、彼ららしさは決してブレていません。自分は前々から陰陽座に一度はこういう作品を出してほしかった。

Rating: 8.0/10



「桜花忍法帖」(MV)【Short ver】