水曜日のカンパネラ 「ガラパゴス」

ガラパゴス

ガラパゴス

1年4ヶ月ぶりとなる7作目。


オープナー「かぐや姫」では雅楽のような神秘的エキゾチシズムを纏い、「愛しいものたちへ」「キイロのうた」ではほとんどリズムレスでアンビエント的浮遊感が強調されるなど、従来のダンスポップ路線の枠組みから大きく外れた実験的要素が目立ちます。「南方熊楠」「見ざる聞かざる言わざる」のような比較的ビートの効いた楽曲にしても、あくまで上モノのスペーシーな広がりを助長するようにビートが添えられており、歌モノとしてのキャッチーなフックではなくサウンドのミステリアスな空気感を重視した作り。これは現在のカンパネラにとって結構なチャレンジではないかと思いますが、ここでネックになるのはやはりコムアイのヴォーカルの弱さ。過去の楽曲ではスタイリッシュなトラックにコミカルな歌唱という歪なバランス感覚の妙技が彼女らの味として機能していましたが、今回のサウンド志向な路線ではそのコミカルさがあまりプラスに作用しているように思えず、一級品を目指すほどにその歌とトラックの間の溝が深まっているように見えます。新たな可能性を模索している、まだその模索段階の習作という印象でした。

Rating: 6.2/10



水曜日のカンパネラ『かぐや姫』