ゆるふわギャング 「Mars Ice House II」

Mars Ice House II

Mars Ice House II

2016年結成の3人組による、1年3ヶ月ぶり2作目。


そのまま前作の続編ということで基本的な路線は変わらず、浮遊感を強調したトラップビートと、したたかさと脱力感が綯交ぜになったラップ。ただ前作よりも楽曲の粒は揃えられ、まるで目の据わってなさそうな陶酔感、そこからジワジワと滲み出すキッチュなポップネス、攻撃性とナイーブさ、そういった彼らを構成する諸要素が綺麗にブラッシュアップされた印象を受けます。特に耳を引いたのはトラックの心地良さ。アメリカに飛んで一層自由にドラッグの効能を享受したのか、リードトラック「Palm Tree」ではもはやアンビエントの領域にまで到達したシンセが不可思議な世界観を展開し、その他にも上モノの透明感が夏らしさを感じさせる「Coolermachine」「Blue Cheese」、また比較的アッパー寄りの「Speed」や「Trip」などにしても、その攻撃性をオブラートで包み込むようにディープな音響空間が構築され、全編通してとにかく流れがしなやか。そして終曲「We're not gonna die young」の柔らかな美しさときたら感動的ですらある。着実に奥行きやスケール感を増して成長を遂げ、ゆるふわなようでやはり抜け目のない彼らなのでした。

Rating: 7.8/10



ゆるふわギャング (Yurufuwa Gang) "Palm Tree"