MASS OF THE FERMENTING DREGS 「No New World」

No New World [FLAKES-192]

No New World [FLAKES-192]

神戸出身の3人組による、約8年ぶり4作目。


色々あったけれどマスドレが帰ってきました。それもこの8年分の重みなどを全く意に介することのないように、素直にやりたいことだけをやっているという軽やかさでもって。内容は極めてシンプルなスリーピースサウンドオルタナティブロック。表題曲「No New World」ではシンセを使ったり、「だったらいいのにな」ではプログレのような曲構成を採ったりしていますが、基本的には小細工無しの直球勝負。土台となる演奏面では80~90年代オルタナやエモパンクに根差した骨格の太さがあり、各パートのラフで生々しい音の鳴りがダイレクトに躍動感を伝える。その上で中心人物の宮本菜津子はまるで一切の迷いを脱ぎ捨てたかのように、何とも抜けの良く伸びやかなヴォーカルを聴かせてくれる。清冽で凛々しく、少しばかりの翳りや切なさをしなやかに見せる、何気ないようで色鮮やかな歌モノの数々。オープナー「New Order」の視界がパッと拓けるような涼やかさから、牧歌的で快活な「スローモーションリプレイ」まで僅か26分。その間に様々な情感や遊び心、そして現在進行形のバンドの豊かなバイタリティが感じられる、確かな手応えのある復帰作です。

Rating: 8.2/10



MASS OF THE FERMENTING DREGS - 4th Album "No New World" All Songs trailer