lynch. 「XIII」

Xlll<初回限定盤>

Xlll<初回限定盤>

1年10ヶ月ぶりとなるフルレンス9作目。


今作を一通り聴いた後に思ったのは、彼らは「lynch. というバンドはこう在るべきだ」という信念を最後まで絶対に曲げずに行こうと腹を括っているのだなということ。もちろんそういった意識は過去の作品においても感じられたのですが、今作ではそれが全体から一際強く表れているように思います。ゴリゴリの高速メタルコアから V-ROCK らしい妖艶なメロディを立てた曲まで、その一連の流れの中には彼らがこれまでのキャリアの中で見せてきた諸要素が改めて幕の内弁当的に詰め込まれており、lynch. というブランドがいかに強固で安心感のあるものであるかをこれでもかと見せつけています。また「FAITH」では黒夢「親愛なるDEATHMASK」へのオマージュを大胆に突っ込んできたり、もしかすると他にも細かいところでV系フリークがニヤリとする仕掛けがあるように思いますが、ともかくそういった遊び心は彼らのルーツと現在のスタイルに対する確固たる自信の表れでもあるだろうし、そこから lynch. のみならずV系という看板を代表して背負っていくという気概も透けて見える。いつの間にやらベテランの域に差し掛かってきた彼らの新しい名刺代わり。

Rating: 7.4/10



JØKER / lynch.