Ty Segall & Whtie Fence 「Joy」

Joy

Joy

US 出身のシンガーソングライターによる、約6年ぶりコラボ2作目。


Ty Segall は今年に入って2作目のフルレンス。相変わらず何処からそんなにインスピレーションが湧いてくるのかという多作っぷりですが、今回の作品はまたこりゃ判断に困るものを…という感じで大きく首を傾げてしまいました。内容は15曲30分。アコギでつるりと始まるフォーク調の楽曲から、グシャリとひしゃげたディストーションを叩き付けるガレージパンクまであり、中には1分未満の楽曲もちらほら。それらに共通するのは音の裏側からツンと匂い立ってきそうな毒々しいサイケ感。優しい曲でもやかましい曲でも、フワフワと視点の定まっていなさそうなトリップ感が空気の中に滲み出ており、聴いているだけでこちらまで脳から酸素が抜けていきそうな心地になる。Ty Segall の作品にはいずれにもそういったサイケ要素というのは含まれていましたが、今作は特にアイディア以上楽曲未満というような短尺のトラックが多く詰め込まれている構成なだけに、そのフリーフォームっぷりが際立ってサイケの濃度も余計に煮詰められている気がします。このB級感はきっと数十年後に好事家に発掘されたのち新たな意味合いでもって再評価されることでしょう。多分。

Rating: 6.8/10



Ty Segall & White Fence "JOY" Commercial