chelmico 「POWER」

POWER

POWER

2014年結成の女性デュオによる、約2年ぶり2作目。


フィメールラッパーと一口に言っても当然のように様々なスタイルがあるものでして、例えば MARIA やちゃんみなのように女豹のごとくゴリゴリの女性性を打ち出した攻撃系だったり、逆に DAOKO のようにサブカルチャーあるいはメインストリームの J-POP との親和性を見せる文化系だったり、各々が各々の主義思想を持った上でヒップホップに臨んでいることかと思います。そこでこのチェルミコ。正直最初はまた新手のアイドルユニットか…くらいに思っていたのですが、実際に楽曲を聴いて即座に考えを正した次第です。確かなスキルに裏打ちされたクールさがありつつ、ヒップホップ原体験が RIP SLYME とのことでユーモラスなポップさも顕著。冒頭「Player」なんかはモロな感じだし、他にも肩の力を抜いて朗々と歌う「OK, Cheers!」や「Highlights」など、良い意味でライトな耳馴染みの良い楽曲が印象的。その一方でフロアを瞬間的にバウンスさせる様子が目に浮かぶ「Get It」や、いかにも夏にピッタリな心地良いチルアウト感の「サマータイム」など、ヒップホップの流儀に沿いつつそこだけに留まらない自由奔放な発想が随所に。これもまた一種のガールズパワーか。

Rating: 7.1/10



chelmico「Highlight」