フィッシュマンズ 「Night Cruising 2018」

Night Cruising 2018

Night Cruising 2018

茂木欣一選曲によるリマスタリング編集盤。


ちょうど今作にも収録されている「MAGIC LOVE」の PV がテレビで流れているのを小学生の頃に見た記憶はうっすらとありますが、きちんと物心ついてから自分がフィッシュマンズを聴こうと思ったのはバンドが活動を停止してからずっと後のことでした。それもあって彼らに対しては90年代的だというようなノスタルジーの類を一切感じることがなく、今回のアルバムで過去の楽曲を改めて聴いてみても、やはりその非現実的な音が持つ心地良さや深みは非常に先鋭的なものとして響いてきます。今回の目玉は盟友エンジニア zAk による「ナイトクルージング」リミックス。音の隙間を強調してさらに実験的な構成となり、酩酊よりもむしろ覚醒を促すようなスリリングなムードすら感じる。それは「I DUB FISH」や「WALKING IN THE RHYTHM (prototype mix) 」にも共通する、後期の彼らが持つ魅力の一側面にフォーカスした仕上がりと言えるかと思います。このダブ/レゲエを通り越した苛烈な実験精神は D.A.N.cero のような急進的な若手バンドと根っこの部分で繋がっているというのも強烈に実感するし、未だにコンテンポラリーで在り続けている異形の音の再確認。

Rating: 8.0/10