ROTH BART BARON 「HEX」

HEX

東京出身の2人組による、約3年ぶり3作目。

ここに来て随分と明け透けになったと言うか、ストレートな圧の強さが凄まじい。基本的な路線はこれまでと同じ、Arcade Fire や Bon Iver などを彷彿とさせる牧歌的なインディ・フォークロック。ただ今作では従来の馴染みやすい暖かみに加え、限られた時間で命を燃やし尽くそうという痛々しいまでの衝動、身を擦り切らしながらのポジティブさが真っ向から聴き手へと投げかけられています。「すべてが欲しい すべてが見たい」と思いの丈を飾らず高らかに吐き出す「JUMP」、抑えきれないエモーションが表出したかのようなシェイクビートで軽快に疾走する「Homecoming」、一切のレッテルを捨てた生身の体のみで他者と向き合おうとする「Venom ～天国と地獄～」など、収められた楽曲全てから感じるのは異様なまでの人間臭さ。フォーク由来の上品さや幻想的な美しさを保ちつつも、その内にはグロテスクなまでに血の通った喜怒哀楽の感情がひしめき合い、それらがクワイアにも似た聖性を纏ったヴォーカルによって一斉に放出される、その熱量には思わず圧倒されるものがある。「入魂」と言うと何だか安っぽく感じられてしまいますが、正しく魂を露わにした一枚。

Rating: 8.7/10

ROTH BART BARON - HEX - (Official Music Video)