中村佳穂 「AINOU」

AINOU

AINOU

京都出身のシンガーソングライターによる、約2年半ぶり2作目。


彼女の核の部分に最も近いのは「永い言い訳」で見せるような、真っ当にシンガーソングライター然としたピアノ弾き語りによる情感豊かな歌声、だと思います。しかしそれだけでは飽き足らず、多くの楽曲において荒木正比呂(レミ街)が共作者として名を連ね、エレクトロニカあるいはフォークトロニカ、そして R&B やヒップホップからの影響も大胆に盛り込んだ、何とも自由度の高い内容となっています。レミ街に通じる部分も多い牧歌的かつ理知的なトラックの「You may they」「GUM」などでは自身の声を楽器として捉える先鋭的なセンスが活かされ、かと思えばトラップに接近した「get back」では一気に洗練されたムードの憂いを聴かせたり、「アイアム主人公」では歌唱とラップと演劇の境目をグルグル行ったり来たりと、とにかく引き出しが多彩。インタビューの中で彼女は James Blake や The Internet 、Hiatus Kaiyote といった名前を挙げていましたが、確かにそういったオルタナティブ R&B 勢からの影響がありつつ、自らの歌や言葉を最も効果的に、パノラミックに表現するにはどうするべきか、その内なる問いに見事に解答したのがこの作品、ということですね。

Rating: 8.4/10



中村佳穂  SING US "忘れっぽい天使 / そのいのち" (live ver)