2018年間ベストトラック20選

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もう年の瀬やで。早すぎるわ。いつものやつです。




20. Wye Oak 「The Louder I Call, The Faster It Runs」

The Louder I Call, the Faster

以前のシリアスなインディフォークからこの境地に辿り着くとは思いませんでした。自分的にこれは Cocteau Twins 、特に「Heaven or Las Vegas」の時期を彷彿とさせるものがあり、そこに大陸的なスケール感、微妙にエキゾチックなメロディ感覚も顔を覗かせたりで、懐かしさと新鮮さが同時に染み渡ってくるという、何とも絶妙な塩梅にグッときてしまった。

Wye Oak - The Louder I Call, The Faster It Runs (Official Music Video) - YouTube




19. The Soft Moon 「Burn」

Criminal

敢えての大味さを狙った80年代風ボディビートに、魔術的ダークネスとハードロック的ダイナミズムが混ざり合ったギターリフ、更にはナイーブな耽美意識の表れたヴォーカルも相まって、強烈に Nine Inch Nails の遺伝子を感じる。本家 NIN も暗黒度の高い新譜を今年リリースしていましたが、それに負けず劣らずの情念が滲み出た、アルバムの中で特にロック要素の強い秀曲。

The Soft Moon - Burn (Official Lyric Video) - YouTube




18. 羊文学 「ドラマ」

若者たちへ

正統派のオルタナティブ、と言うのは語義的に矛盾しているのかもしれませんが、若者がオルタナティブロックを演る時の一番の正解例、という感じがあります。「青春時代が終われば/私たち、生きてる意味がないわ」。その歌詞にもメロディにも、切迫感と空虚感が綯交ぜになった彼女らの世界観が特に凝縮されているように思います。冷や水を浴びせられたような聴き心地。

羊文学 "ドラマ"(Official Music Video) - YouTube




17. COALTAR OF THE DEEPERS 「SUMMER GAZER '92」

RABBIT EP

まずタイトルがあかんよな。サマーでゲイザーで92年だもの。果たしてどれほどにシューゲシューゲしてるのかと構えてたら、実際にはもちろんシューゲ要素も強いものの、それと同等にトロピカルなラテンハウスの開放感、ラウンジテイストも大胆に注入され、NARASAKI ならではのマニアックな遊び心が存分に発揮された楽曲で、こんな風に遊べるのナッキーしかおらんでしょと。

COALTAR OF THE DEEPERS - SUMMER GAZER '92 (Official MV) - YouTube




16. 上坂すみれ 「POP TEAM EPIC」

POP TEAM EPIC

今年の頭にネット上の好事家を喜ばせたクソアニメ、そのテーマ曲となればそれ相応にキャラクターの濃い人でなければ対応しきれない、ということで正しく適任と言えるすみぺさん。しかし上がってきた楽曲は意外にも真っ当な格好良さで逆にビックリした。トランス・ダブステップチップチューンの融合したシャープなトラックと、アイドルを演じ切るすみぺのプロ歌唱がピタリ。

上坂すみれ「POP TEAM EPIC」MUSIC VIDEO(Short ver.) - YouTube




15. チャットモンチー 「たったさっきから3000年までの話」

誕生(通常盤)

そもそもチャットモンチーはデビュー前から様々なメンバー編成でその場その場を切り抜けてきたという経歴があるので、シンセポップに転向したこのラスト作も本質的な意味では極めてチャットモンチーらしいと言えるのではないでしょうか。変わっていくことへの不安と期待、そして変わらないものがあることの安心感が詰まったこの曲は、彼女たちであり我々のこと。

チャットモンチー 『たったさっきから3000年までの話』 - YouTube




14. LEO今井 「New Roses」

【Amazon.co.jp限定】VLP( オリジナル缶バッジ(A柄)付)

LEO今井率いるバンド編成のテンションの高さが、アルバムの中でも特に生々しくパッケージされている一曲。ワイルドでいてセクシー、マッチョでいてインテクチュアル、クールでいてユーモラス。ロックンロールに在るべき要素をアタマとカラダで熟知した演奏の熱気たるや。特にラスト1分のセッションは何度聴いても血が沸騰する。

LEO IMAI - New Roses (Studio Live Version) - YouTube




13. Age Factory 「GOLD」

GOLD

ガッツリ勝負かけてきたなという印象がある。それは商業的な意味でもそうですが、単純にロックバンド、表現者として自分自身が何処まで大きくなれるかという、自己への挑戦のように聴こえます。これまでよりも開かれたポップネスを獲得して、わずか3分とは思えないスケール感を見せつけた、あまりにも鮮烈な一発。きっとこの曲が今後の彼らの指針となるでしょう。

Age Factory "GOLD" (Official Music Video) - YouTube




12. Behemoth 「God=Dog」

GOD = DOG

「People=Shit」以来かもしれない真理の数式を解いたこの楽曲は、もしかすると Behemoth 史上最もキャッチーな形で、なおかつ彼らのブラックメタルとしての魅力を薄めることなくプレゼンしたもの。ブラストもデスヴォイスも黒魔術も込み込みでここまで取っつきやすいというのは、それこそ Slipknot ばりの手腕ではなかろうか。

Behemoth - God=Dog (Clean Version) - YouTube




11. 小袋成彬 「Selfish」

分離派の夏

彼の楽曲からは海外オルタナティブ R&B 勢の影響と同時に、槇原敬之平井堅のような正統派 J-POP の血を強く感じます。その辺に関してはきっと彼自身も自覚的で、だからこそ言葉を崩さず丁寧に歌い、単独名義においてはむしろ武器のひとつくらいに思っているのではないでしょうか。その特徴が一際よく表れているのがこのリード曲だと思います。

小袋成彬 『Selfish』 - YouTube




10. Thom Yorke 「Unmade」

Suspiria(Music for the Luca Guadagnino Film) [輸入盤 / 2CD] (XL936CD)

ワルツ調のピアノが奏でる繊細な優しさと、ナチュラルな音響処理がそこはかとなく醸し出す不穏さ。その薄ら寒い空気感は曲が進み、様々な音が重なっていくにつれて濃密なものとなり、いつの間にか肺を水で満たされていくような感覚に陥る。ホラー映画の世界観に寄り添いながら、彼ならではのナイーブな美しさが純化されて映し出されたような一曲。何なら Radiohead の新曲として聴いても差し支えないでしょう。

Thom Yorke - Unmade - YouTube




9. ROTH BART BARON 「HEX」

HEX

自分は ROTH BART BARON を聴くと、歌の伸び方から CHAGE and ASKA をいつも思い出してしまうのですが、この曲は特に、チャゲアスと US フォークの奇跡的な邂逅という風に思えてならない。リズム面によく耳を傾けると、昨今のヒップホップやエレクトロニックからの影響も垣間見えますが、それ以上に極めてフォーク的な、歌の情念のこもり方に圧倒されてしまう。これを広義の J-POP の最先端だと言ってしまいたい。

ROTH BART BARON - HEX - (Official Music Video) - YouTube




8. Car Seat Headrest 「Nervous Young Inhumans」

Nervous Young Inhumans (Single Edit)

狂熱のフロアのど真ん中から鳴らしているようなダンサブルなパンクロックに乗せて、Will Toredo は明確に聴き手に語り掛けています。声を上げない、手も上げない、本当の自分を見せようとしない、それで何をやっているんだ?歌詞の中の you とは正に君のことを歌っているんだよと、ハイテンションな音の向こう側から真顔でこちらに問い掛ける。弱々しかろうがぎこちない動きだろうが、その動きこそが美しいと告げる若者のためのアンセム

Car Seat Headrest - "Nervous Young Inhumans" - YouTube




7. Kendrick Lamar, SZA 「All the Stars」

All The Stars [Explicit]

来年のグラミー賞では多数の部門でノミネートされている、正しく今年を代表する一曲でしょう。映画の壮大な世界観を反映した歌詞世界ですが、今年のフジロックにて Kendrick Lamar がこの曲を披露した時の、数万の観客がライトを掲げて闇夜の中に星の海が広がり、この曲の世界観が映画を飛び越えて現実のものとなって表れた瞬間、あの時の感動的な光景は出来る限り忘れずにいたいと思います。

Kendrick Lamar, SZA - All The Stars - YouTube




6. 宇多田ヒカル 「初恋」

初恋

初恋というものがこれから先の人生にどれほどの影響を与えるか、もしかすると死ぬ時までずっと心から離れてくれない、深く打ち込まれた楔となるかもしれない。この曲では一切の飾り気のない正攻法で、彼女は初恋というものの美しさと恐ろしさを同時に歌いきっているように思います。「First Love」からおよそ10年が経ち、同じテーマに回帰した彼女は、変わった部分と変わらない部分を綺麗に提示して見せてくれました。

宇多田ヒカル 『初恋』(Short Version) - YouTube




5. Anderson .Paak 「'Til It's Over」

'Til It's Over

ヒップホップや R&B に関係するだいたいのことは器用にやれてしまう、新世代のスターによる新世代のスタンダード。夜が終わるまで、パーティーが終わるまでは二人だけで笑っていられる…という、おそらくダンスミュージックというものが生まれた時からのテーマであろう刹那の狂騒の輝かしさ、そして狂騒が刹那であるが故の遣る瀬無さを、この楽曲はひどくしなやかに、綺麗に切り取っています。

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4. AL 「NOW PLAYING」

NOW PLAYING

本当に何の変哲もないポップなロックンロール。ただそれだけでここまでの煌めきを纏うことができるというのが、陳腐ではありますが魔法的だと言わざるを得ない。メンバーは30台半ばへと突入し、かつてのひりついた焦燥感こそ薄れたものの、その代わりに過去を振り返る時の冷静な視点が加わり、だからこその美しさが加わっているのかなと思います。これから何者にも惑わされず、何も背負わずに続けていってほしい。

AL / NOW PLAYING - YouTube




3. 椎名林檎宮本浩次 「獣行く細道」

獣ゆく細道

宇多田ヒカルは表面がポップだけど根はオルタナ椎名林檎は表面がオルタナだけど根はポップ」という表現をネットの何処かで見て、非常に言い得て妙だなと思ったのですが、この曲は正に、椎名林檎としてのポップス職人気質が見事に発揮された一曲だと思います。ジャズ歌謡の曲調に乗せた時に宮本浩次の歌声がここまで映えるのかと感動させられたし、人生を全霊で謳歌せんとする宮本のパワーをミュージカルの絢爛さで引き出した、全ての歯車が合致した奇跡的な一曲。Mステのパフォーマンスも最高でしたね。

椎名林檎と宮本浩次-獣ゆく細道 - YouTube




2. Mitski 「Nobody」

ビー・ザ・カウボーイ

アルバム「Be the Cowboy」の中核を担いながら、彼女のレパートリーの中では突出してカラフルな新境地を示している楽曲。直接的な起伏の激しさなどは抑えられ、極めて洒脱なディスコ/ラウンジポップであるにも関わらず、歌詞とのギャップから発せられるエモーションの切実さは最高値を更新していると思います。サビにおける Nobody のリフレインが調を変えながら少しずつ感情の移ろいを見せていく、その静かな物狂おしさもさることながら、中詰で歌われる「どれだけ自分を大きくしても小さくしても、誰も私を望まなかった」、この痛々しいまでの空虚感はこちらにも深く刺さってきた。濃密すぎる3分。

Mitski - Nobody (Official Video) - YouTube



1. Childish Gambino 「This is America」

This Is America [Explicit]

結局のところ今年最もリピートした楽曲はこれでした。様々な隠喩を散りばめたとされる MV はすでに多くの分析や解釈が挙げられていますが、要するにもうすぐ目の前にまで危機的状況が迫っているのに、それに気付かず延々と陽気なパーティーが続いている、その捻れた状況に対するショッキングな警鐘。銃社会の米国ではその陰と陽の対比が尚更ダイナミックな有効性を発揮しているのだと思いますが、決して日本だって他人事ではない、と言うか危機に対する気付きがないという点では日本の方が深刻だったりするのかも。向こうではこの曲がバズり、かたや日本では DA PUMP「U.S.A.」がバズるというのも何だか壮大な皮肉のようで笑ってしまいましたね。何度繰り返しても最初聴いた時の衝撃が薄まらない。

Childish Gambino - This Is America (Official Music Video) - YouTube