These New Puritans 「Inside the Rose」

Inside The Rose

Inside The Rose

英国エセックス出身の2人組による、5年9ヶ月ぶり4作目。


2016年にまたもメンバー脱退が起こり、とうとう Barnett 兄弟のデュオ編成となった彼ら。しかしながら2010年作「Hidden」の時点ですでに所謂ロックバンドの編成からは大きく逸脱した音楽性へと向かっていただけに、メンバーが少なくなることでグループとしての自由度はむしろ上がっているのかもしれません。実際に今作では、ポストクラシカルの実験性を取り入れてゴスが本来持つ緊張感と優美さを際立たせる、という手法が前作「Field of Reeds」以上に推し進められています。多種多様なアコースティック楽器の音色とエレクトロニクスの境目は完全に融解し、時には躍動的なドラムが挿入される場面もありますが、全体としては極めて柔らかくスムースな手触りを保っており、その音像はともすればひどく艶めかしくも映る。特に中盤の表題曲「Inside the Rose」から「Into the Fire」にかけての甘美なメロディが印象的な楽曲群、ここでのバンマス Jack Barnett は穏やかなウィスパーヴォイスを聴かせながら、裏側では刹那的な情念を轟々と燃え上がらせているようにも見え、その静かな気迫に少しずつ身体を浸食されていくような心地になる。流石の手腕。

Rating: 8.4/10



These New Puritans - Inside The Rose (Official Video)