THE YELLOW MONKEY 「9999」

約19年ぶりとなる9作目。


ひどく潔い作品だと思いました。70年代グラム、ハードロック、そして昭和歌謡。楽曲を構成する成分としてはそういった、バンド結成の時点ですでに彼らの中に備わっていたものしかない。場面によってはストリングスを重ねて哀愁を引き立てたり、「Changes Far Away」では時事的にもバッチリの Queen 風アートロックサウンドを展開したりといった装飾はありますが、基本のバンドアンサンブルは驚くほどシンプル。ギターのダビングは最小限、ヴィンテージ志向の至ってトラディショナルな音作り、AB サビからギターソロという構成も今時珍しいくらいベタ中のベタ。再結成したバンドが解散以来ウン年ぶりの新作を出すとき、その復活作は己がどういうバンドかを再定義するような、飛び道具や実験性抜きの王道的内容になることが多いかと思いますが、彼らの場合はここ3年ほどを費やしてアルバムのマテリアルを徐々に増やしてきたというのもあり、その再定義において極めて慎重かつ誠実という印象を受けます。まあ何にせよ今の時代にはおおよそそぐわない。しかし彼らがこれまで時代にそぐう形だったことなどはなかった。これこそがイエモンとして在るべき姿。

Rating: 7.7/10



THE YELLOW MONKEY - I don't know