Nivhek 「After its own death / Walking in a spiral towards the house」

After It's Own Death

After It's Own Death

Liz Harris (Grouper) による新プロジェクトのデビュー作。


表題通り「After its own death」「Walking in a spiral towards the house」の2曲が前後編に分かれた4トラック、計60分。本隊の Grouper 名義ではアンビエント/ドローンノイズの実験的な音響性を取り入れつつ、フォークソングあるいはドリームポップ的な「歌」が根底にあったのに対し、この新名義では完全にドローン一直線。Liz 本人による教会の聖歌のように荘厳かつ深遠な声の響き、それが永遠とも思える長い時間をかけて重層を形成したかと思えば、突如地響きにも似たエレクトロニクスが挿入されるなどで、神秘的な美しさと禍々しさの間を慎重に泳いでいく。中でも特に印象的なのは全編において多用されている鐘の音。どういう楽器を使っているのかは情報が見つからないのですが、豊かなリバーブを纏って鳴り響く金属的な音色はガムランを想起させるもので、そのアブストラクトな音階も含めてやたらと呪術的、宗教的な色合いが強く表れています。それで曲名には「死後」「螺旋」といったタームが使われていたりするので、もしかしたら輪廻転生がテーマだったりするのだろうかと。激しく内省を促すドローンの音響作用が極まった、修練にも似た作品。

Rating: 7.3/10