空間現代 「Palm」

Palm [Analog]

Palm [Analog]

2006年結成の3人組による、7年ぶり3作目。


自分は Moe and ghosts とのコラボ作「RAP PHENOMENON」で初めて空間現代の楽曲を聴いたのですが、ひどく実験的だと思われたあの作品の中で、いかに Moe and ghosts がポップで、テンションが高く、聴き手にとってのハブとして機能していたかを、この作品を聴きながらひしひしと実感しています。それくらい今作は極端に実験的。スリーピースの各パートがまるで互いを無視しているかのように、何拍子かすら分からない複雑なフレーズを淡々とループし続け、それがポリリズムとなって折り重なる。異様なまでに簡素な音作りで隙間の無音が強調された音響も手伝い、極めてシュールで無機質な音像を形成しています。ただその中に微量、極々僅かに色味を感じさせるギターフレーズ、そして遠くの方で聴こえる声にならない声が、幾何学的な演奏の中においては嫌にエモーショナルなものに感じられ、聴きようによっては Shellac や Battles のようなマスロック/ポストハードコア勢が目指した境地の最果てという風にも見えます。殺伐としているように見えて奥底には何か奇妙なエナジーが密かに渦巻いている、ような気がする。

Rating: 7.3/10


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