Cave In 「Final Transmission」

FINAL TRANSMISSION (ファイナル・トランスミッション: +bonus track)

FINAL TRANSMISSION (ファイナル・トランスミッション: +bonus track)

米国マサチューセッツ出身の4人組による、約8年ぶり6作目。


冒頭に据えられた表題曲「Final Transmission」は簡素なギターと鼻歌のみのデモトラック。このボイスメモを作ったベーシスト Caleb Scofield は昨年不慮の事故で他界しています。デビュー時からのバンドメイトを亡くし、残されたマテリアルを元に何とか完成までこじつけたというバックグラウンドは、この作品からどうしても切り離して考えることは出来ません。音楽性としてはかつての「Jupiter」~「Antenna」期に顕著だったスペースロック路線。演奏はハードコア出身ならではの骨太なパワフルさを放っていますが、メロディは翳りを帯びた美しさを湛えて壮大に広がり、ともすれば繊細、ナイーブといった印象も受ける。序盤「All Illusion」「Shake My Blood」では特にそのメロウな感触が強く、そこからロックンロールの野性味が加わった「NIght Crawler」、そしてドリームポップ風の深遠なノイズを膨張させる「Lunar Day」と、硬軟のバランスをしなやかに移ろわせる懐の深さは彼らならでは。ただそれらには一貫して緊張感や物悲しさが強く滲み出ている。盟友 Aaron Turner によるアートワークも含めて、これが Caleb への彼らなりの哀悼、ということでしょう。

Rating: 8.2/10



Cave In "Shake My Blood"