カレーをさらに美味くするベストトラック10選

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カレーと音楽には密接な関連性がある。これは歴とした事実である。




皆さんは近年大阪において目覚ましいカレーブームが巻き起こっているのをご存知でしょうか。テレビや雑誌ではたびたびカレーに関する特集が組まれ、カレー情報誌で確認できるだけでも1年の間に少なくとも50軒以上は新店がオープンし、自力で美味い店を探そうと検索すれば下手したら1000軒はヒットするのではというほど、かつてのラーメンブームを凌駕する勢いでカレー専門店の進出が拡大しています。自分の Twitter を見ている方はお分かりでしょうが、自分は大阪在住であり、お店やメディア、個人ブログなどが束となって盛り上げているそのカレーブームにまんまと飲み込まれ、休日は暇さえあればカレー屋の発掘に余念がないというドハマリ状態です。


これだけ無数のカレー屋が立ち並ぶと、そりゃ生半可なカレーでは競争の中で生き残っていけない。そこで欧風、インド、スリランカ、タイ、ネパール、果てはそれらの要素をミックスした多国籍スタイルなど、多彩な様式の中で独自のアイディアを駆使したオリジナリティの高いカレーがあちらこちらで生み出されています。それと同時に、店構えにも注意しなければならない。普通に自分の店舗を開く店もあれば、他所様のレストランやバーを休みの間だけ間借りするという形態、あるいは古民家を改造しての隠れ家カフェ的な佇まいで営業する店もありと、ロケーション、内装もまるで多種多様。店の醸し出す雰囲気作りという点においても他店との差別化が必要になってくる、となればそこに相応しい BGM も様々なわけです。


実際のところ、カレー屋のマスターの中には音楽に精通している人が少なくなく、例えば元バンドマンであったり、兼業でクラブ DJ をやっていることも割とザラ。また全国各地の野外フェスやライブイベントにおいても、カレーの出店率はかなり高い。フジロックでは森のハイジカレーがすっかり名物として定着していたり、先日の横浜では「CURRY & MUSIC JAPAN 2019」なるフェスが開催されたそうで、音楽とカレー、聴覚と味覚の相乗効果がいかに高いかというのは、今後さらに無視できない状況になっていくのは明らかです。そこで考えたのが、カレーを最も美味くする音楽は何だろうか。カレーは普通に食べてももちろん美味い。ただそこで流れる音楽が、調合されたスパイスの異国情緒を引き立て、まるでスパイス原産地へと脳内を誘ってくれるような非日常的体験を一層強めてくれるものだとしたら、こんな贅沢は他にない。カレー、ピクルス、ラッシー、それらと同じ列に音楽はある。ここでは「カレーを題材にした曲」ではなく、あくまでも「カレーに合いそうな曲」ということで、実際に自分がカレー食べながら聴いてて「この状況最高やな…」となった10曲を独断と偏見で以下に並べておきます。順番は適当です。




T.Rex 「The Slider」 (1972)

THE SLIDER

まずは基本中の基本から。昨今の大阪で流行の主流となっているのが「スパイスカレー」なるもので、通常のカレーよりも割増しで多くの種類のスパイスを投入し、より複雑な風味を目指したものでして、口に入れた瞬間は案外それほど辛くない、しかし食べ進めていくうちに発汗作用が激しく促されて、いつの間にか顔がナイアガラの滝みたいになっていることがよくあります。この内側から身体を徐々に火照らせてくる感覚というのは、ロックンロール、とりわけセクシーかつワイルドな恍惚を滲ませたグラムロックの魅力と近似していると言えます。ゴージャスな弦楽隊もスパイスに挑む自分を鼓舞するようだ。

https://music.apple.com/jp/album/the-slider/1205403548?i=1205403554
流れてた店: スパイスカリーハルモニア (@curryharmonia) | Twitter




Oi-SKALL MATES 「SADNESS」 (2001)

12メイツ・スカル・ナイター・ウウゥ

野外フェス、特にフジロッカーなら共感してもらえるかと思いますが、野外でのスカとカレーは本当に相性が良い。泥臭くてファニーでルードなスカの直線的グルーヴは、前方のモッシュピットで騒ぐのはもちろん、具材盛り盛りのエキゾチックなカレーを食べながら遠目に見るのもオツなもの。ただそれは野外というロケーションの作用が大きなウェイトを占めている…と思ったら、店の中でもスカの魅力はカレーの食欲を激しく増進させることを、この数年の間で実感しました。大阪のスカ御一行による「悲しいことは忘れなよ」と優しく背中を押すこの曲はカレーの滋味そのもの。

https://music.apple.com/jp/album/sadness/105424854?i=105424175
流れてた店: Columbia8堺筋本町店 (@kawasakeema) | Twitter




Triston Palma 「Entertainment」 (1982)

Entertainment - Original

スカが合うなら当然レゲエも合うだろという感じで、こちらはジャマイカ出身のレゲエシンガーによる80年代のヒット曲。最近のカレー屋さんはだいたいどの店も2種以上、多ければ4種や5種のカレーを用意していて、それがスリランカ方面のテイストが強い店だと、ひとつの皿の中で複数のカレーを混ぜこぜにしながら味の変化を楽しむ、というのが定番となっているわけです。それでこの曲はレゲエならではのレイドバックしたグルーヴや朗らかな歌唱が単純に心地良いのに加え、「ダンスホールでの諍いを無くそう」と融和を歌う歌詞の内容も、別種のカレー同士がひとつに溶け合う様と完全に合致していますね。

https://music.apple.com/jp/album/entertainment-original/379137339?i=379137474
流れてた店: 二タカリバンチャ(ニタカリー) (@nitanitacurry) | Twitter




Sun 「Wanna Make Love」 (1976)

Wanna Make Love

上記のスカやレゲエとほぼ同じような感覚ですが、この手のソウル/ファンクもカレーの美味さを引き立てるのには抜群の仕事を見せてくれます。要するにブラックミュージックが良いということか。カレーってどちらかと言うとアジア圏な気がするけど、まあこのボーダレスの時代に国籍がどうこうの話なんてナンセンスですね。この曲は米国オハイオ州出身の大所帯バンドによる一番のヒットソング。ネチっこく強調された扇情的なベースラインが楽曲全体を先導し、途中でヴォコーダー挟んだりもして濃厚という印象がやたらと強く、ついでに言えば曲名も直球。ホットなカレーにはホットな曲で対抗だ。

https://music.apple.com/jp/album/wanna-make-love-come-flick-my-bic/1444150022?i=1444150221
流れてた店: サッチェズカリー (@sacchescurry) | Twitter




NujabesLuv (Sic) feat. Shing02」 (2003)

FIRST COLLECTION

スカ、レゲエ、ファンクと来たら残るのはジャズとヒップホップだろう、ということで双方が融合したこの曲。しかしながら Nujabes の死を越え、6部作として10年がかりでようやく完結したこの曲を、安易にメシの BGM にしてしまうことには抵抗を覚える人もいるかもしれません。ただこの曲の持つアーバンなジャズテイストがハマるような、洗練されたカフェデザインの店でも個性的な趣向を凝らしたカレーにはありつけるもので、その落ち着いたチルな雰囲気でカレーに向き合うというのもひとつの楽しみ方。特にこの曲は自分の意識をカレーに集中させると同時に、自らを内省する特別な時間を与えてくれる。

https://music.apple.com/jp/album/luv-sic/1078900903?i=1078900912
流れてた店: Mesi-kutan? メシクウタン? (@Mesikutan) | Twitter




Hunger! 「Colors」 (1969)

Strictly From Hunger

カレーのスパイスが新陳代謝を促進して身体に活力を与えるのは周知の事実でしょうが、食べてる間はそのスパイス作用が時に奇妙なトリップ感へと転じることもないこともない、ということでトリップ感を助長させる音楽と言えばサイケロックと昔から相場が決まっています。それに決して小奇麗なレストランばかりではない、中には店主のサブカル趣味が炸裂した猥雑な店構えをしてる店もあったりで、そんな店なら尚更サイケロックはピッタリ。ということでこの知る人ぞ知る、アルバム1枚で解散した US サイケの重要バンドはかなりイケてます。強烈なハモンドとファズとスパイスで合法ハイまっしぐら。

https://music.apple.com/jp/album/colors/1452930325?i=1452930476
流れてた店: スパイスサロンバビルの塔@中崎町 (@TxOxB2) | Twitter




クラムボン 「id」 (2002)

id

店構えで言えば序文の中にも書いたように、女性がひとりでカフェ使いできそうな古民家リノベ風の洒落たカレー屋さんも中にはあったりして、そういう店の BGM に打ってつけな存在と言えばクラムボンですよね。ただそういった店に限って意外にいかつい辛さのカレーを出してくることもままあって、そういうどっちに転ぶか分からない先の読めなさ、一見上品でサラリとしてるようで裏では凄まじく凝ったことしてるみたいなのもクラムボンらしい感じで良いなとか、いい加減こじつけも苦しくなってきましたね。ていうかミトも結構なスパイスカレーマニアなんですね。さすが違いの分かる男。

https://music.apple.com/jp/album/id/258412646?i=258412648
流れてた店: カレー屋バンバン (@curryyabanban) | Twitter




山下達郎 「That's My Desire」 (1980)

On the street corner 1 [12 inch Analog]

そもそもの話、カレーが最も似合う季節はいつかと言えば、当然夏になりますよね。それで夏と言えば、まあ昭和の人間なんでサザンとか TUBE が真っ先に挙がるんですけど、そこで達郎を推していきたいという気持ち、あるじゃないですか。ただその流れで言うと「SPARKLE」や「高気圧ガール」といった選曲になりそうな所、何でこれやねんという話ですが、もちろんそういった夏全開の曲がカレーに合うのは当たり前。ただこの、ある意味で山下達郎の本質的な思想、技量が露わになった超深煎りのアカペラカヴァーを聴いてると、心なしかカレーのコクも深まってくるような、少し特別な気分になりますよね。

https://music.apple.com/jp/album/thats-my-desire/425617833?i=425617997
流れてた店: スパイス居酒屋はらいそsparkle (@paraiso_spice) | Twitter




Queens of the Stone Age 「Feel Good Hit of the Summer」 (2000)

RATED R-FEEL GOOD HOT OF

上の Hunger! の項と内容がやや重複しますが、スパイスってドラッグなんですよね。肉体的、精神的依存度は確実に高いし、食べてる時(キメてる時)はだいたいいつもハイになってるし、刺激が強いのを摂取し過ぎると体に異常をきたす(胃腸をやられる)し。実際この曲の冒頭から羅列される薬物の後に、シナモン、ローレル、ターメリック、カルダモン、クミン、コリアンダー…と続けていってもあんまり違和感ないじゃないですか。古くからドラッグと音楽には切っても切れない関係があるのと同じで、カレーと音楽、特にストーナーの顔役とも言えるこの曲はカレーの特別なパートナーなわけです。

Queens Of The Stone Age - Feel Good Hit Of The Summer - YouTube
流れてた店: currybar_nidomi (@nidomi_cafebar) | Twitter




Slayer 「Angel of Death」 (1986)

REIGN IN BLOOD

メシを食べる時にメタルは合わないという意見は多いかもしれません。やかましくて味に集中できない、テンポが速すぎて落ち着かない、歌詞の内容もメシ時には相応しくないグロテスクなものが沢山。しかしながらそのメシがカレーだった時には話は別です。具材や出汁の旨味を活かしつつも、辛くなければカレーではない、辛さというのを何処まで追求できるか、というある意味体育会系的な思想の店も中には存在します。そうなると食べる側としても腹を括らなければならない。眼前に立ちはだかるカレーの刺激に耐え、己の弱さを克服するためには何の助けが必要か。答えはひとつ、ヘヴィメタルだ。

https://music.apple.com/jp/album/angel-of-death/1440831562?i=1440831770
流れてた店: カレー専門店 カレイヤー (@CurryCalayer) | Twitter




以上です、ありがとうございました。これを読んだ皆さんの音楽ライフ、そしてカレーライフに幸多からんことを。