スピッツ 「見っけ」
- アーティスト: スピッツ
- 出版社/メーカー: Universal Music =music=
- 発売日: 2019/10/09
- メディア: CD
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グッと来る瞬間は多くあります。まず冒頭の表題曲「見っけ」からして、いきなりギターが豪快にジャカジャーンと。しかもドラムはシェイクビート。さすがにちょっと古くないか?と口が滑りそうになったものの、胸を躍らせながら未来へと向かうポジティブな歌詞も相まって、良い意味でベテランらしからぬパワフルさ、瑞々しさが曲全体からひしひしと感じられます。他にはラジオへの愛着を微笑ましいほどストレートに表した「ラジオデイズ」、しっとりしたフォーキーな憂いの中で「君が好き/レモン風味/軽い罪」と押韻していくその軽やかさに唸らされる「ブービー」、洒脱なファンクネスの上でそこはかとなくエロティシズムが香る「YM71D」、曲展開が強引すぎて笑ってしまう「まがった僕のしっぽ」など。これら曲毎に仕掛けられたフックがことごとく強いのに加え、ティーンエイジの希望(と僅かに孕んだ逡巡)を丁寧に描いたラインが多く目立ち、総じては大衆がスピッツに求めているであろう役割をきっちりこなしつつ、そのフォーマットの上で彼ら自身が気負いなく遊び、楽しんでいるという印象を受けます。ある意味バンドの理想形か。
Rating: 7.9/10