川本真琴 「新しい友達」

新しい友達

新しい友達

9年半ぶりとなる5作目。


今作について川本真琴本人は「"今"のアルバムを作った」という旨のメッセージを寄せています。確かに今作はざっと聴くだけでも、今現在の彼女の興味、人脈、アイディアの数々が余すことなく詰め込まれているのがすぐ分かる、それくらいの雑多さが強く印象に残ります。キッチュなエレクトロポップの「ゆらゆら」に始まり、峯田和伸参加でエモーショナルな切なさが加速する「新しい友達Ⅱ」、オールディーズ歌謡の滋味が沁みる「あの日に帰りたい」、あどけなさの裏に鋭さを隠したフォーク曲「へんないきもの」、歌詞の一文一文に否応なしに惹きつけられる「ロードムービー」など。いずれも参加メンツが違えば録音場所も違ったりで、まあ節操がない。ただそれでも違和感はなく、いずれも川本真琴の楽曲としてさらりと聴き通せられるのは、その様々な趣向の全てがこれまでの彼女の経験に裏打ちされたものだからだと思います。至って自由だけれど、かつての「gobbledygook」の頃のような力みであったり、無理な背伸びは全く見られない。その意味では前作「音楽の世界へようこそ」と同様に、今作もまた彼女の「素」の一面なのでしょう。

Rating: 7.4/10



川本真琴と峯田和伸/新しい友達 II