Cigarettes After Sex 「Cry」

CRY

CRY

米国テキサス出身の4人組による、2年4ヶ月ぶり2作目。


今作はスペインのマヨルカ島にてレコーディングを敢行したとのこと。地中海に浮かぶ現地のエキゾチックな空気を体感することは彼らにとって大きな刺激となったようで、実際の中身を聴くと…なるほど、うむー、正直自分には前作との区別が全くつきません。柔らかく奥行きのあるドリームポップならではの音像と、一貫して憂鬱な表情を浮かべるメロディ。音作りも BPM も一曲の尺もストイックなまでに統制されており、下手すれば前作以上、もはや笑ってしまうほどの潔さ。歌詞の内容も非常に限定的で、彼らが描いているのは愛や恋と言うよりも、その愛や恋の最中にある断片的なワンシーンのみ。それはバンド名が極めて簡潔かつ的確に表していますが、つまりは心が通じ合っているのか定かではない男女の刹那的な情事、またはその事後における脆弱な安寧と虚無感。そんなナイーブに美化されたエロス、ロマンスを描写することに全身全霊を注いでおり、それで内容が一面的になるのも重々承知の上、といったある種の覚悟も感じられる。その覚悟は良いんですが、さすがにアルバム2作丸ごとで頑なに手を変えようとしないのは、聴く側としても忍耐が要りますよね。

Rating: 6.2/10



Falling In Love - Cigarettes After Sex