崎山蒼志 「並む踊り」
- アーティスト: 崎山蒼志
- 出版社/メーカー: SMM itaku (music)
- 発売日: 2019/10/30
- メディア: CD
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彼にとっての本筋であるアコースティックギター弾き語りはもちろん、自身による打ち込みトラック、また新進気鋭のミュージシャンとのコラボレーションと、方向性が多岐に渡っている今作。まず彼の本筋に関しては、一番最初に某テレビ番組で見た時からずっと苦手意識を拭い切れずにいます。卓越したプレイ、独特の言語センス、特徴的な声質。そのいずれもが強固な彼らしさを生んでいるのは確か。けれどそれら各要素が、曲の中で何かしらの情景、感情を織り成すような有機的な結びつきをしていない気が、個人的にはしています。アコギと歌のみの状態では、彼の持つ独特さが他の何物も寄せ付けないモノリスのようで、曲の世界観がすっかり彼の内だけで完結してしまっているという印象がある。しかしコラボで作られた3曲は三者三様の方向性で、豊かな彩りを添えることでようやくこちらとの接続点が生み出されているように思うし、「夢模様、体になって」「Video of Travel」のような打ち込み曲にしても、実験的な構成ながら聴き手の想像力を刺激する余白、風通しの良さを感じます。なのでアルバム全体的には凸凹感が凄い。ここから彼は何処に向かうんだろうか。
Rating: 6.3/10