King Gnu 「CEREMONY」
昨年の紅白歌合戦で「白日」の演奏を見た時には随分と驚かされました。楽曲が本来持つスケール感の大きさ、それを一切奇を衒わずストレートに聴衆へぶつけようとする様には、ポップシーンの玉座に手を掛けるほどの風格がすでに備わっていたから。ファンクやヒップホップ由来の豊かなグルーブを携え、ミクスチャーを志向することでオルタナティブの野心を見せつつ、曲の構造的には完全に J-POP の王道、スタンダードを地で行く。このスタンスは（音楽性は違えども）過去にサザンやミスチル、最近であれば SEKAI NO OWARI のようなビッグネームが辿ってきた道筋そのものじゃないかと。そんな「白日」を中枢に据えた今作で、デビュー当時から感じられた大器はいよいよ完成の域に迫りつつあります。ただそれ故に、自分が彼らに対して抱いていた苦手意識も決定的になってきた感があって、それは詰まる所、歌詞のあちこちで綴られているモラトリアム的な苦悩や鬱屈。これらを歌う調子があまりにも饒舌すぎ、楽曲も演奏もソツが無さすぎて、その苦悩に対する答えもすでにそちらで用意済みであるかのような、ある種の欺瞞を自分は感じ取ってしまうわけです。
Rating: 4.5/10
