V.A. 「PARADE III ~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~」

7年半ぶり3作目となる BUCK-TICK トリビュート盤。


思わず笑ってしまうくらい過剰なカヴァーばかり。発表された参加メンツを最初に見た時には、もちろん意外な名前も並んではいるものの、どちらかと言うとこれまでの制作に携わっていた身内がどうも多いな…という印象で、新鮮味の薄さが少し気にかかっていました。ただそもそも、それら身内的な面々が何故 B-T と繋がっていたかと考えると、表面的な音楽性は異なるとしても、創作に向かう根本の部分で深いシンパシーを感じていたからだろうと、実際に聴くことで瑣末な問題はすぐさま霧消しました。今回提出されたカヴァーはいずれもが各々の方法論によって一切の遠慮なしに改変されており、やりすぎくらいがちょうど良いという B-T ならではの価値観を自然と全員で共有しているかのようで、B-T に敬意を払うのであれば音楽性をなぞるのではなくその姿勢こそをなぞるべき、というある種の誠意が透けて見えます。極悪のアグレッションを貫いた DIR EN GREY や GARI 、まさかの歌詞まで改変した椎名林檎も強烈なインパクトですが、個人的に一番食らったのは藤巻亮太。こんな清々しい寂寥に満ちた「JUST ONE MORE KISS」を一体誰が予想できた?

Rating: 7.7/10



BUCK-TICK トリビュートアルバム 『PARADE III ~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~』 トレーラー映像