HMLTD 「West of Eden」
英国ロンドン出身の6人組による初フルレンス。
聴いている間ずっと笑いそうになっていました。曲調を順に追っていくと、冒頭「The West is Dead」は Suicide の無気味さを下敷きとしつつパワフルに開けていくシンセパンク。「LOADED」は豪快なグルーヴが波打つハードロックとエレクトロファンクの融合。「To the Door」はマカロニウェスタン劇伴風からトラップへの急転直下(何故?)。「Satan, Luella & I」はオペラの絢爛さにスペーシーな奥行きも付与したグラム・アートロック。極めつけに「Why?」は日本語ボーカロイドが不可解な存在感を放つザ・怪曲。まあとにかく節操ないことこの上ない。そしてそれらの楽曲を束ねる Henry Spychalski のヴォーカルもまた過剰なまでに情緒豊かで、ナルシスティックに道化を演じることに対して何の臆面もない。自身の内に潜む耽美意識が様々な音楽要素をエサとして明後日の方向にすくすく育ち、特に誰もブレーキ役を担おうとしないまま今作で見事開花に至ったという感じ。正直言ってB級、イロモノ臭は拭えません。ただそれでも、己の美学を信じて疑わない実直さだけは何の間違いもなく輝いています。この輝きはもしかしたらイエモンなんかにも通じるかもね。
Rating: 7.5/10