Moses Boyd 「Dark Matter」

Dark Matter [ボーナストラック4曲収録]

英国ロンドン出身のドラマー／プロデューサーによる、約1年半ぶり2作目。

ジャズ事情に疎くて申し訳ないのですが、クラブミュージックの要素を融合することで新世代に相応しいジャズのスタイルを提案するという動きが、最近では Kamasi Washington や Robert Glasper などを筆頭として更なる加速度を見せているようで、この Moses Boyd などはそういった急進的な潮流の最先端に位置しているのだと思います。今作はジャズならではのスムースでメロウな心地良さもさることながら、特にリズム／グルーヴの構築におけるセンスの鋭さが印象的。「Stranger Than Fiction」ではトラップ、「BTB」「Y.O.Y.O」ではアフロビート、「2 Far Gone」ではグライム。それら多彩なリズムパターンを咀嚼、消化したアンサンブルは何ともきめ細やかなもので、緩急自在の豊かなうねりがすぐさま身体を突き動かしてくる。また音色にエレクトロニックな意匠を多く施しているのも、旧来の形式に囚われない自由度の高さをアピールしつつ、楽曲が本来持つ流麗さや緊張感を上手く助長しており、至って奔放でありながら的を狙う照準がブレていないのがよく分かります。ジャズを土台としたクロスオーバーについての、もはや模範解答とも言える内容かと。

Rating: 8.1/10

Moses Boyd - Shades Of You (feat. Poppy Ajudha)