Jeff Parker 「Suite for Max Brown」

米国ブリッジポート出身のギタリストによる、約3年ぶり6作目。


ポストロックシーンの重鎮バンド Tortoise の一員としても活動している彼。その Tortoise の楽曲に見られるジャズ要素は彼の助力による所が大きいとのことで、このソロワークも何かしらのジャンルの棚に収めるとするならば、やはりジャズが最も適切でしょう。しかしながら二度三度と注意深く聴き進めていくうちに、この作品がジャズのみならず複雑な異種配合によって成り立っていることが少しずつ見えてきて、ジャンルの枠組みがすっかり無用の長物に思われてくる。基本となるアンサンブルの編成はジャズのスタイルを遵守したものですが、エレクトロニカ通過後の立体的なサウンドデザイン、ルーズなグルーヴ感を反復するヒップホップの手法も積極的に導入。それらが生演奏ならではのディテールの繊細さを全く損なうことなく、むしろその繊細さに新たな広がりを付与するような形で有機的に組み込まれています。特にヒップホップ要素の強い「Fusion Swirl」や「Gnarciss」などには彼の挑戦的な姿勢がはっきり表れているだろうし、終曲「Max Brown」では優美さと実験性が混交して10分超の澱みない流れを構築。その様はもはや圧巻ですらある。

Rating: 8.1/10



Jeff Parker - Go Away (Official Audio)