Shabaka & the Ancestors 「We Are Sent Here by History」

We Are Sent Here By History

We Are Sent Here By History

サックス奏者 Shabaka Hutchings を中心とする6人組の、3年半ぶり2作目。


Shabaka は Sons of Kemet や The Comet Is Coming といった複数のバンドを併行で稼働していたり、Jonny Greenwood の劇伴にゲスト参加するなど外仕事も数多くこなしたりで、現行のジャズシーンにおいて強く存在感を発揮しているキーパーソンのひとりというわけですね。それでこのバンドは彼が憧憬する南アフリカの熟達プレイヤーを招聘し、作曲/リーダーを自らが務めるというスタイルで、彼個人の持つ音楽的嗜好や哲学が特に色濃く反映されているのかなと思います。ダーティで泥臭いグルーヴがジャズならではの渋味と躍動感を伝えつつ、ディープな奥行きのある音処理によって低熱のムードを醸し出し、それがアルバム全体を貫くスピリチュアルな世界観をより説得力あるものに引き立てています。過去の歴史の積み重ねによって我々の運命は左右され、やがては朽ちていかなければならない。その限られた時間の中で闇を突き抜け、希望ある未来、自由を手に入れるにはどうするべきか。数々のイマジナティブな表題から察するに、彼らはその答えに辿り着くための力強さを、伝統と革新がクロスする自らの演奏に託しているように感じますが、いかがでしょうか。

Rating: 8.6/10



Shabaka And The Ancestors - Go My Heart, Go To Heaven