赤い公園 「THE PARK」
- アーティスト:赤い公園
- 発売日: 2020/04/15
- メディア: CD
新ヴォーカリスト石野理子が加入してから早2年。溌剌としたパワフルさが印象的だった前任の佐藤千明と比べると、彼女の歌はしなやかさや清涼感の方が前に来るタイプで、そういった彼女の特性を活かすため、この2年の間で焦ることなくバンドの音楽性を再調整してきたのだろうと思います。コード進行やリズム処理の細かな部分におけるヒネりは多数見られますが、全体としては至って明快、ストレートに J-POP の王道を進まんとするフレッシュさが印象的で、何かとトリックスター然としていた「公園デビュー」の時よりも、ある意味こちらの方がよっぽどデビューアルバムらしい佇まい。「Mutant」「Unite」などの横ノリと「紺に花」「絶対零度」のような縦ノリが澱みない一続きの流れを成し、合間の「chiffon girl」ではヒップホップへも器用に目配せし、終盤「夜の公園」「曙」でおおらかな山場を迎えるという、まあ一切の隙が見当たらない盤石の構成。纏まり方がいささか優等生すぎて良い意味での破綻や驚きには欠ける気もしますが、新体制の初フル作だし、ほぼセルフタイトルだしで、自らのスタンダードをここで改めて打ち立てるという意気込みの表れでしょう。
Rating: 6.9/10