LILLIES AND REMAINS 「TRANSPERSONAL」

Transpersonal

Transpersonal

フルレンスとしては1年10ヶ月ぶりとなる2作目。


作品を重ねるごとにアンサンブルの厚みが増し、シンセの装飾も多くなってきてるのですが、見た目が派手になっても根幹の姿勢は変わらず、体温を上げる気が全くないのがこのバンドらしくて頼もしい。都会の闇を突っ切るようなスタイリッシュな疾走感、抑揚の抑えられたヴォーカルが放つキナ臭いダークネス。90年代ビートロック一歩手前の音楽性ですが、ニューウェーブ/ポストパンク由来の鋭角な響きやゴシック/ポジティブパンクの瘴気もあり、音に対する美意識はかなり高い。しかしそういった刺々しさがある一方でメロディの方は意外なくらいポップ。視界がパッと開けるような感覚が心地良い 「Broken Receiver」 、華やぐようなロマンチシズムが切なく響く 「Injustice」 「Human Intellect #2」 などは彼らのレンジの広さをアピールする良曲。ポップネスを無理なく味方につけている感じで、前作 「MERU」 の経験が確実にモノになってますね。もちろん従来のスリリングな刺激が欲しい人にはオープナー 「Across the Line」 や 「Lucid」 といった彼ら流のロックンロール曲もあり。必要最小限のことしかしないけど、その最小限のラインが上がってきてる感じ。何とも痺れる格好良さ。


Rating: 8.8/10
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